こんにちは。東京都練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。
個人事業を営んでいると、「事業とプライベートの混ざった支払い」が出てくると思います。
たとえば自宅事務所の場合は、「家賃・電気料・インターネット代・電話代」などがあります。
事業で車を使う場合は、ガソリン代などの車両費も該当します。
結論としては、残念ながら「事業とプライベートの混ざった支払い」は、個別具体的に判断していくので「絶対にこの割合なら大丈夫」という正解はありません。
本日は、「事業とプライベートの混ざった支払い」の税務的な考え方と、一般的にはこのような基準で分けている、という部分を解説します。
個人事業主の経費は、2種類ある!
個人事業主の経費は、2種類あります。
事業経費
これは、明らかに事業の遂行に必要な経費です。
一番わかりやすいのは「仕入れ」です。
わたしのような税理士事務所であれば、会計ソフトや税務ソフト、税務の専門書代、税理士会の会費などが、事業経費になります。
家事関連費
今回のブログで解説する「事業とプライベートが混ざった支払い」のことを、専門用語で「家事関連費」といいます。
この「家事関連費」は、明確な計算基準がないので、税務調査で問題になることがあります。
家事費
これは、完全にプライベートな支出で、経費には出来ません。
家族や友人との食事代や、旅行代金、衣服代などです。
家事関連費の、法律的な位置づけ
家事関連費は、所得税法などで規定されています。
まず、経費に出来る要件は、①「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり」、かつ、②「その必要である部分を明らかに区分することができる」というものです(所法45①一、所令96①一)
要するに、①主たる部分が業務遂行上必要で、かつ②その部分を明らかに出来ること、が要件です。
①の要件には、「50%基準」というものがあって、「主たる部分が業務遂行上必要」かどうかは、支出金額のうち、業務に必要な部分が50%を超えるかどうかで判断します(所基通45-2)。
ただし、50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分出来る場合は、その必要部分は経費に出来ることになっています。
分かりずらいですね・・・。
まとめると、
- 事業で使う割合が50%超であれば、その事業で使う割合でOK(プライベートと明確に分かれている必要はある)
- 事業で使う割合が50%以下であれば、プライベートと明確に分かれていれば、その事業で使う割合でOK
結局同じことを言っているような気もしますが、「家事関連費」はプライベートと事業を明確に区分し(ここが大事です)、そして事業割合で按分して経費にする、という流れです。
逆にいうと、明確に分けられないような支出は、経費に出来ないので、留意が必要です。
具体的な計算方法
「家事関連費」をどう按分するか、その具体的な計算方法は示されていません。
実態に応じて検討する必要があります。
以下で代表的な計算事例を記載します(ただし絶対的な基準でないです)。
- 電気代
→使用時間(床面積やコンセントの数などを基準にする) - インターネット代
→使用時間 - 電話代
→使用時間 - 家賃
→床面積 - 車両代
→走行距離や使用日数 - 飲食代
→プライベートが混ざるものは、経費に出来ません。 - 洋服代
→仕事でしか使わない衣装代は、経費に計上出来ます。
しかし、プライベートでも着用するのであれば、事業と明確に区分は出来ませんので、経費に出来ません。 - 特殊なメイクや美容代
特定の仕事のためにのみ行うメイクや美容代は経費になると考えます。
一般的なメイクやネイルなどは、経費に出来ません。 - カフェ代
カフェで仕事をするためにコーヒーを注文する場合は、経費に計上出来ます。
ただし、休息で利用する場合は、経費に出来ません。
※家賃については、持ち家の場合、住宅ローン控除との兼ね合いが出てくるので留意が必要です。
「住宅ローン控除 経費」などとググると、解説しているHPが出てきます。
まとめ
「家事関連費」は、どこまで経費に出来るか、税理士でも悩むことがあります。
「仕事で使っている」、「この分だけは仕事で使っている」としっかりと説明できるものだけを経費にするようにしましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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