【法人税】役員貸付金には、「認定利息」を計算する


こんにちは。東京都練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。

法人で、社長などに貸付金を有している場合は、「認定利息」を計上します。

本日は、「認定利息」の解説をします。

※使用人に対する貸付金も同様の取り扱いとなります。

「認定利息」とは、「役員から収受すべき受取利息」相当額のことです。

お金を貸しているので、利息をもらうのは当然と言えば、当然です。

利息相当額の利率は、次に掲げる利率によります(所基通36-49)。

1.会社が他から借り入れて貸し付けた場合
  →その借入金の利率

2.その他の場合
  →貸付けを行った日の属する年に応じた次に掲げる利率

・平成22年から25年中に貸付けを行ったもの:4.3パーセント

・平成26年中に貸付けを行ったもの:1.9パーセント

・平成27年から28年中に貸付けを行ったもの:1.8パーセント

・平成29年中に貸付けを行ったもの:1.7パーセント

・平成30年から令和2年中に貸付けを行ったもの:1.6パーセント

・令和3年中に貸付けを行ったもの:1.0パーセント

・令和4年から令和5年中に貸付けを行ったもの:0.9パーセント

役員報酬として課税されるもの

役員に無利息、または低い利息で金銭を貸し付けた場合には、「上記の利率により計算した利息の額」と「実際に支払う利息の額との差額」が、役員報酬として課税されます。

※法人税法上、当該役員報酬については、定期同額給与などの損金算入要件を満たさない場合は、全額損金不算入となります。

役員報酬として課税されないもの

次の(1)から(3)までのいずれかに該当する場合には、上記の「役員報酬として課税されるもの」にかかわらず、役員報酬として課税しなくてもよいことになっています(所基通36-28)

(1) 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員または使用人に、その資金に充てるため、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合

(2) 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員または使用人に対して金銭を貸し付ける場合

(3) 上記(1)および(2)以外の貸付金の場合で、「役員または使用人に貸し付けた金銭の利息について」の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額が1年間で5,000円以下である場合

これまでの実務経験のなかで、役員貸付金を有しいてる会社は、数えるほどしかありませんでした。

したがって、認定利息の論点はともすると見落としがちかもしれません。

しかし、認定利息を計上していないと、役員報酬とされ、さらに損金不算入になる可能性があり、税務的にはリスクとなります。

認定利息の論点を見落とさないように、留意することが重要です。

ちなみに、「役員借入金」は多くの中小企業が有しています。

「役員借入金」についても、相続財産になったり、DESをする際の株価の時価評価など、論点があります。

心配な場合は、顧問税理士にご相談することをおすすめします。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

参考 国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2606.htm

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