こんにちは。練馬区大泉学園のひとり税理士、上原啓輔です。
最近、法人成りの相談を受けることがあります。
個人事業主から法人成りをする場合は、検討すべき事項が多くあります。
今回は「個人事業税の見込控除」について解説します。
個人事業税の見込控除
個人事業主は、前年度の所得が290万円を超えている場合は、個人事業税が課されます。
個人事業税は地方税で、8月頃に地方事務所から通知がきます。個人事業税は通知が来た年度(賦課決定のあった年度)に支払います。そしてその支払った年度に租税公課として経費に計上します。
ただし法人成りをした場合は、翌年の8月頃に個人事業税の通知が来ても、経費に計上することができません。
そこで、例外的に「個人事業税の見込控除」の計上が認められています(所基通37-7)。これは法人成りをした年度に、個人事業税の見込額を計算して、経費に算入できるという特例です。
計算方法
個人事業税の見込控除の計算は以下の通りです。
見込控除額=(A+-B)×R÷(1+R)
A……事業税の課税見込額を控除する前の当該年分の当該事業に係る所得の金額
B……事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算し又は減算する金額
・加算する金額・・・青色申告特別控除額(65万円又は10万円)
・減算する金額・・・事業主控除額290万円(月数按分)
R……事業税の税率(3~5% 業種により決定)
具体例
2024年1月1日から2024年6月25日まで個人事業を営み、法人成りをした場合の計算例です。
A:所得金額 5,000,000円(青色申告特別控除後)
B:加算する金額:青色申告特別控除額 650,000円
減算する金額:290万円×6月÷12月=1,450,000円
C:事業税率 5%
(5,000,000円+650,000円 ‐ 1,450,000円)× 0.05 ÷(1 + 0.05)= 200,000円
2024年度の確定申告で、個人事業税の見込控除として、200,000円を租税公課として計上できます。
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