こんにちは。練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。
本日は「欠損金の繰戻し還付」の解説をします。
目次
質問
当社はソフトウェア会社の制作会社です。
前期は業績が好調で黒字でした。
当期は、赤字となりました。
欠損金を繰戻す制度があると聞いたのですが、具体的に教えて下さい。
回答
「欠損金の繰戻し還付」を申請すれば、前期に納付した法人税(国税のみ)の一部が還付されます
解説
欠損金の繰戻し還付
青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(以下、この事業年度を「欠損事業年度」といいます。)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)に繰り戻して法人税額の還付を請求することができます。
(出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5763.htm)
簡単に説明すると、前期が黒字で、当期が赤字のケースで、「欠損金の繰戻し還付」の適用が出来ます。
前期の法人税の一部を、当期に還付してもらうイメージです。

還付金の計算方法
還付金の計算式は、以下となります。

上記の図表にあてはめると、このようになります。
200×(500/1,000)=100(還付金)
適用を受けられる事業者
基本的には、「中小企業者等」と言われる企業が適用対象です。
ごく一般的な中小企業のイメージですが、細かな用件があるので、必ず自社が「中小企業者等」に該当するかご確認下さい。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5432.htm
(中小企業者等以外でも適用が受けられる場合がありますが、説明を割愛しています。)
適用要件
適用を受けるためには、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 還付所得事業年度から、欠損事業年度の前事業年度までの、各事業年度について、連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
- 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
- 上記2の確定申告書と同時に、「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出すること。
当該請求書はコチラにあります。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_38.htm
「欠損金の繰越控除」との使い分け
「欠損金の繰越控除」という制度があります。
欠損金を10年間繰り越して、翌期以降で所得が発生した事業年度に、欠損金を充当できる制度です。
「欠損金の繰越控除」と「欠損金の繰戻し還付」のどちらを使うかはケースバイケースです。
たとえば、以下のような場合が「欠損金の繰戻し還付」を利用した方が良いと考えます。(あくまで私見です)。
- 翌期以降、欠損が続く可能性がある場合
- 還付金を受けて資金繰りを厚くしたい場合
地方税には「欠損金の繰戻し還付」の制度は無い
1点留意いただきたいのは、地方税には「欠損金の繰戻し還付」の制度は無い、ということです。
したがって、地方税における欠損金の取扱いは、「欠損金の繰越控除」のみとなります。
国税で「欠損金の繰戻し還付」を適用すると、国税と地方税で繰越欠損金の額に相違が生まれます。
これは、仕方ないので、そういうものだと思ってやっていくしかないです。
参考:https://www.pref.gunma.jp/site/tax/5408.html
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
免責事項
- 当サイト内のブログ内容については、執筆時点の各種法令に基づき記載をしているため、記載内容が必ずしも最新の情報であるとは限りません。
- 限定された条件下での記載や、一般の方にも記事を読みやすいよう一部専門的な内容を避けた記載をしています。正確性等を高めるよう努めておりますが、当サイト内のブログに記載された情報(第三者から提供された情報も含む。)をご利用頂いたことにより損害や不利益等が生じた場合でも、当ブログ管理者は一切責任を負いません。
- ご自身の税務等に関するご判断に際しては、必ず顧問税理士等へご相談の上、ご自身の責任においてご判断下さい。
サービスメニュー
- 法人の決算申告のみのご依頼
- 税務顧問サービス
- スポット税務相談
- 個人事業主の確定申告
- 会社設立のサポート、創業融資サポート
- 海外取引の税金、国際税務や英語対応が可能。
- クラウド会計やITツールを使って、経理業務の効率化のご支援。
- 対応エリア:練馬区、渋谷区、豊島区、杉並区、中野区、新宿区、世田谷区を中心に、東京23区
西東京市、三鷹市、武蔵野市など、東京23区外
神奈川県、埼玉県、千葉県。
長野県(出身地のため)。
※オンラインツールを使い、全国対応も可能です。