こんにちは、大泉学園のひとり税理士、上原啓輔です。
今日は、『今日もガッチリ資産防衛 ー 1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の感想を書きます。
わたしが税理士になりたいと思った理由は2つあるのですが、そのうちの一つに「お客さんのお金を守れる税理士になりたい」というものがあります(もう一つは英語や国際税務に強い税理士になりたい、です)。
独立するにあたって、「お客さんのお金を守る」とは何か、色々と考えていましたが、まずは合法的な節税を行い、余計なキャッシュアウトを防止する、という方法がよいと考えました。
そこで、節税に関する本を何冊か読んでおり、本書はその中の1冊です。
社長と会社、どちらにお金を残すか、バランスよく教えてくれる
本書の最初の方に、「社長と会社の手取りはこう決まる」という説明があります。そこで解説されている内容がシンプルで分かりやすく、「なるほど、こうやって個人と会社の収入を分けて考えるのか」と勉強になりました。図で示されているので、これにあてはめながらシミュレーションをすると、うまくいくと思います。
なお本書も含めて、節税の本を何冊か読んで分かったことがあります。それは、
- 節税策は無限にあるわけではなく、限られているということ
- どの節税をどのくらい実行するかはケースバイケースで、お客さんごとに最適解が違うこと
です。
会社と社長のどちらにお金を残すべきかを考える時は、節税以外のメリット・デメリットも考慮します。会社と個人(役員報酬)のどちらにお金を残すのかは表裏一体の関係になっているので、節税だけの視点で決めるのではなく、最終的には社長の生活スタイルなども考慮して、決める必要があります。
読後の変化
総理大臣の日当
日当は会社の節税策でかならず出てくる手法です。
内閣総理大臣にも日当が支給されます(知らなかったです)。日当3,800円、宿泊代19,100円です。一泊出張すると、ホテル代込みで22,900円の日当が支給されます。多いのか少ないのか良く分かりませんが、会社の出張手当の金額を決定する際の参考になります。
(国家公務員等の旅費に関する法)
別表第一
役員賞与で社会保険を削減する
事前確定届出給与という制度があり、これを使うと役員に支給する賞与を損金(法人税の経費)に出来ます。この制度を社会保険を削減する目的で使用することがあります(実際に見たことはないのですが)。
事前確定届出給与に対して掛る社会保険は一定の金額で頭打ちとなります。そのため事前確定届出給与を多額に支給し、そのかわり毎月の役員報酬を少なくして、社会保険を削減しようというスキームです(本書でも紹介されています)。
このスキームは賛否両論あって、個人的には不自然さが目立つと思います。なのであまりお客さんにはオススメしづらいスキームです。なぜなら自分が社長だったらやらないだろうな、と思うからです。
まとめ
節税の本はたくさんありますが、節税策には限りがあります。ひとつの節税策の見せ方を変えているだけで、どの本も同じような内容に言及しています。それでも節税策の本を何冊も読むと、「あ、こういう視点からこの節税は有効なんだ」という発見があります。
節税策を研究している過程で、自分のお客さんに必要な節税策をベストなタイミングで提案するにはどうすべきか、を考えるようになります。節税提案は税理士にとって必須ですが、だからこそ丁寧な提案を行って、お客さんが余計なキャッシュアウトをすることなく、少しでも資金をビジネスの成長に使っていただきたいなと願っています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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