こんにちは。練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。
外資系企業に勤めていると、外国親会社からESPPを受け取ることがあります。
本日は、ESPPの課税関係を解説を記載します。
目次
質問(ESPPを受け取った)
私は、アメリカの外資系企業の日本法人に勤務しています。
この度、勤務先からESPPを受け取りました。
確定申告をする必要があると、会社からアナウンスがありましたが、具体的にはどうしたらいいでしょうか。
回答
ESPPは権利行使時に、給与所得として確定申告が必要です。
また株式を売却した場合は、譲渡所得の申告が必要です。
解説(ESPPの課税関係/確定申告)
ESPPとは
ESPPとはインセンティブ報酬の一種で、エンプロイー・ストック・パーチャス・プラン(Employee Stock Purchase Plan/従業員持株購入制度)の略です。
従業員の株式購入プランのことで、自社株を割引価格で購入できる制度です。
15%ほどの割引で購入できるケースが多いようです。
ESPP制度での株式購入の流れ
ESPP制度での株式購入の流れは、以下のようなイメージです。
- 毎月の給料から、株式購入のために一定額が天引きされる。
- 天引きされた資金が、外国親会社を経由して、外国の証券会社に開設された個人口座に移動する。
- 毎年、一定の時期に会社から株式購入のアナウンスがある。
→外国証券会社の個人口座にプールされている資金を使って、外国親会社の株式を、割安な価格で購入する。
ESPPの課税関係
ESPPの課税関係は以下の通りです。
- 自社株購入権の付与時(Grant)
特段課税関係は生じません - 自社株購入時(割安価格で購入)
市場価格(FMV、フェア・マーケット・バリュー)に比して割安になった部分は経済的利益として、課税されます(給与所得)。 - 売却時(Sale)
株式を売却したので、譲渡所得として課税されます。
計算例(ESPPの付与時=Grant時)
ESPPのGrant時は、特段課税は生じません。
よって、確定申告をする必要はありません。
計算例(自社株購入時)
- ①付与株数:50株
- ②株式購入時の株式の時価(FMV):60ドル
- ③株式購入金額:51ドル(FMVより15%割安)
- ④円換算:1ドル=150円(株式購入時のTTM)
①50株 × (②60ドル ー ③51ドル) × ④150円=67,500円が給与所得として課税されます。
通常の給与は源泉徴収票から金額を把握できるので、ESPPで割安に購入できた経済的利益分を合算して、給与所得として確定申告をする必要があります。
計算例(ESPPで取得した株式の売却時)
売却時は、譲渡所得としての申告が必要です。
先の例で獲得した株式を、そのまま売却したとします。
- 売却時の1株の時価:70ドル
- 売却時のTTM:1ドル=160円
- 譲渡原価:50株 × 60ドル × 150円=450,000円
→1株の譲渡原価は、株式購入時の時価60ドル(FMV)です(51ドルではない点にご留意ください)。
(70ドル × 160円 × 50株) ー 450,000円=110,000円が、譲渡所得として課税されます。
ESPPは納税資金に注意
ESPPは株式購入時に給与所得として課税されます。
しかし、現金支給の給与ではなく、株式の交付のため、納税資金を用意する必要があります。
ESPPで購入した株式が、FMVに比して割安であればあるほど、所得税の納付が高額になります。
確定申告時に納税資金があるように、備えておく必要があります。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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