【法人税】投資信託の会計処理(特別分配金に要注意)


こんにちは。練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。

法人の投資信託の会計処理を解説します。

購入時は、保有目的の区分に応じて、勘定科目が変わります。売買目的で購入した場合は「有価証券」勘定、長期的な資産運用などを目的に保有する場合は「投資有価証券」勘定を使用します。

(会計仕訳)
有価証券(又は、投資有価証券) / 現金預金

普通分配金を受け取った場合

投資信託を保有している間に、普通分配金を受け取ることがあります。

普通分配金は配当金に相当するものであり、法人にとっては収益となります。

普通分配金を受け取った場合は、「受取配当金」勘定を使って収益計上します。

たとえば、普通分配金として10,000円が支払われた時の仕訳は、以下のようになります。

(会計仕訳)
預金8,468円 & 法人税等1,531円/ 受取配当金10,000円 

普通分配金を受け取った場合、15.315%の所得税が源泉徴収されます。

源泉所得税に相当する金額は「法人税等」勘定で仕訳します。

特別分配金を受け取った場合

これが、特に注意すべきポイントです。

名前に「分配金」とついていますが、収益ではなく、元本の払い戻しとなります。

よって仕訳は以下のようになります。

(会計仕訳)
預金 / 投資有価証券

これを誤って「受取配当金」勘定で処理すると、収益が計上されるので、法人税の負担が増えます。

また、配当ではないので、源泉税は徴収されません。

「有価証券」の場合

期末で時価評価をする必要があります。

1.評価益の仕訳

有価証券 / 有価証券評価益(PL)

2.評価損の場合

有価証券評価損(PL) / 有価証券

「投資有価証券」の場合

評価損益は計上しません。

しかしながら、「その他有価証券評価差額金」というB/S勘定で、評価損益を表現する必要があります。

1.評価益の仕訳(税効果会計は考慮しない)

投資有価証券 / その他有価証券評価差額金(BS)

2.評価損の場合

その他有価証券評価差額金(BS) / 投資有価証券

受取配当等の益金不算入

法人税上で受取配当金の益金不算入の制度があります。

対象となるのは、一定の特定株式投資信託(上場EFTなど)に限定されています。

投資有価証券の売却方法は、①買取請求②解約請求があります。

買取請求

有価証券の譲渡に該当します。

(会計仕訳)
預金 / 投資有価証券(有価証券)& 投資有価証券(有価証券)売却益 (譲渡損の時は、借方に売却損を計上)

解約請求

配当金の受取りとなります。

(会計仕訳)
預金 & 法人税等(源泉税) / 投資有価証券(有価証券) & 受取配当金

解約請求をしたときの利益(受取配当金)には、15.315%の所得税が源泉徴収されます。

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