こんにちは。練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。
本日は、消費税の論点を書きます。
消費税に係る事業を開始した課税期間についての内容です。
通常は、設立初年度=消費税に係る事業を開始した課税期間、となります。
しかし実際は、通達でその課税期間の範囲が少し広く取られています。
意外と盲点となる論点だと考えます。
正確を期すために、以下では専門用語を使って解説しますが、ご了承ください。
質問
当社は2023年4月1日に設立した、3月決算の法人です。
2024年3月期は設立登記を行ったのみで、何ら事業活動は行っていません。
2025年3月期も、何ら事業活動は行っていません。
2026年3月期において、賃貸用不動産を購入しました。
消費税の還付を受けたいと考えましたが、2026年3月期に「課税事業者選択届出書」を提出すれば、還付を受けられますか?
回答
2024年3月期は設立登記を行ったのみで、2026年3月期に賃貸用不動産を購入し、事業活動を開始した場合は、2026年3月期が消費税における「事業を開始した日の属する課税期間」となります。
したがって、2026年3月期の末日までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば、消費税の還付を受けられます。
解説
消費税法においては、法人が賃貸用不動産を購入した日が、実質的に事業活動を開始した日の属する課税期間とみなされます(消基通1-4-7)。
したがって、2026年3月期の末日までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば、還付を受けられます。
根拠となる「消費税基本通達1-4-7」を引用します。
その事業者が法人である場合の令第20条第1号《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》に規定する「国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」とは、原則として、当該法人の設立の日の属する課税期間をいうのであるが、例えば、非課税資産の譲渡等に該当する社会福祉事業のみを行っていた法人又は国外取引のみを行っていた法人が新たに国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間もこれに含まれるのであるから留意する。
なお、設立の日の属する課税期間においては設立登記を行ったのみで事業活動を行っていない法人が、その翌課税期間等において実質的に事業活動を開始した場合には、当該課税期間等もこれに含むものとして取り扱う。
(注) 令第41条第1項第1号《事業を開始した日の属する期間等の範囲等》に規定する国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する期間、令第56条第1項第1号《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》又は規則第26条の4第1号《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》に規定する国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間についても同様である。
まとめ
「課税事業者選択届出書」の提出タイミングは、実務で問題となることが多いです。
通常は、設立2期目以降に届出書を提出した場合、その効果は翌期から発生します。
しかしながら、設立2期目以降でも、提出をしたその期からその効果が発生するケースがあります。
- 非課税資産の譲渡等に該当する社会福祉事業のみを行っていた法人が新たに国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間
- 国外取引のみを行っていた法人が新たに国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間
- 設立の日の属する課税期間においては設立登記を行ったのみで事業活動を行っていない法人が、その翌課税期間等において実質的に事業活動を開始した課税期間
特に3つ目のケースは盲点になりやすと考えます。
還付漏れがないように留意する必要があります。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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