こんにちは。練馬区大泉学園の、ひとり税理士、上原啓輔です。
本日は、山田晴美先生の『チャレンジ!移転価格税制』の感想を書きます。
移転価格税制は、税務業界で大きなニュースになることが多く、また税額に与えるインパクトも大きいため、注目度の高い税制です。
最近でもこのようなニュースがありました。
<独自>ニチリンが11億円申告漏れ 海外子会社との取引巡り移転価格税制を適用 – 産経ニュース (sankei.com)
移転価格税制は、一般的には大手税理士法人内の専門部署で扱うことが多いです。
わたしも勤務時代に、クライアントから移転価格税制の質問を受けることがありましたが、自分では一次的な回答をするにとどめ、より詳細な分析については、専門の部署に依頼をしていました。
移転価格税制は、英語ではTransfer Pricingと呼ばれ、TPと略されています。
なぜこの本を読んだか
本書を読んだのは勤務時代でしたが、クライアントとの打ち合わせで、よく移転価格税制の話題が挙がりました。移転価格税制は税理士試験の理論くらいの知識しかなかったので、「これはまずい」と思い、読みやすそうだった本書を手に取り、勉強することにしました。
何を学んだか
移転価格税制とは、要するに独立企業間価格(Arm’s Length Price: ALP)をいくらにするかのルール、なのですが、その決定にあたり様々なアプローチや複雑で細かなルールがあります。
本書は会話形式なので、わたしのように移転価格税制の概要を学びたい方にも比較的読みやすいと思います。ただ移転価格税制そのものが難しいので、内容は難しいです。
独立企業間価格(ALP)の算定は、答えのないところに、合理的であると思われる金額を算定する作業です。したがって独立企業間価格の算定に当たって、課税当局と納税者の間で争いが起こり、結果的に納税者が追徴課税を受けることがあります。それがよくニュースになります。
移転価格税制の検討が必要な会社というのは、海外子会社を有している会社です。そのような会社は規模も大きいため、大手の税理士法人に税務顧問を依頼している場合が多いと思います。なので、わたしのようなひとり税理士が対応するケースはほとんど無いと思います。
ひとり税理士の立場として仮に出来ることがあるとすれば、スポットなどで移転価格税制の相談を受けたら、一般的な回答をしつつ、専門の税理士法人を紹介する、ということくらいかなと思います。
読後の変化
移転価格税制の概要を学べたので、移転価格税制が全く未知の良く分からないもの、という苦手意識はなくなりました。ただ移転価格税制は、本を1冊読んで対応できるような代物ではないので、あくまで概要を理解したという納得感を得たイメージです。
まとめ
移転価格税制の概要を理解するには、本書はとてもいいと思います。
移転価格税制は、税額のインパクトも大きく、専門性も非常に高いため、携わったことのある税理士は少ないと思います(むしろ会計士が多く対応している印象があります)。
国税庁の公表資料によると、令和4年事務年度の、移転価格税制の申告漏れ所得金額は、392億円に上っています。
もし海外子会社を有しており、移転価格税制の検討が必要な会社は、早めに税理士法人に相談するのがいいと思います。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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