こんにちは。練馬区大泉学園の、ひとり税理士、上原啓輔です。
本日は、高山弥生先生の、『税理士事務所スタッフが社長と話せるようになる本』の感想を書きます。
ちなみに高山先生の前著については、こちらに感想を書いていますので、よろしければ是非お読みください。
目次
なぜこの本を読んだか
わたしは、独立開業にあたり、社長と直に接する機会が増えるので、社長が何を考え、何を会計事務所に求めているのか、を理解するために本書を手に取りました。社長が求めていることを理解し、一緒に悩みを解決していくことで、ビジネスの発展に寄与できると考えたからです。
本書は、とりわけ資金繰りや融資制度について丁寧に説明しているので、とても勉強になりました。
この本で学んだこと
資金繰りについて
本書は資金繰りについて、多くのページを割いています。わたしも独立して初めて、資金繰りの重要性が分かりました。
会社の損益も重要ですが、まず資金繰りの算段を付けることが、ビジネスを継続していくためには重要です。そのために銀行借入れを上手く活用する必要があります。本書は銀行借り入れの種類や、借入れの考え方を解説しているので、とても勉強になります。
法人の節税方法
法人の節税策についても言及があります。
本書に限らず法人の節税策を紹介しているものは、たくさんありますが、どこまでを節税と捉えるかで、その対象範囲は変わります。よく目にする法人の節税策というのは、以下のようなものがあります。
- 小規模企業共済(本来は所得税ですが、挙げます)
- 経営セーフティネット
- 出張手当の支給
- 社宅
- 各種税額控除の活用
- 未払費用を漏れなく計上する
自社株や後継者の問題
社長がある程度高齢になると、自社株や後継者の問題が大きく立ちはだかってきます。
自社株の価値が大きいと、後継者は自社株を買えるだけの資金を用意できません。昨今では、事業承継税制などで自社株を承継することが出来ますが、適用のハードルは決して低くありません。
わたしも今後、10年、20年と会計事務所を経営していく中で、顧問先の自社株承継問題に直面すると思います。その時、自分ならどのようなアドバイスをするか、いまから考えていこうと思いました。
読後の変化
資金繰りの考え方
わたしの場合、サラリーマン時代は資金繰りの感覚はいまいち分からなかったです。毎月、定期的に口座にお金が入ってきて、ボーナスまで貰えます。その範囲内で生活すれば良いだけでした。
わたしは自宅で開業したため、スタッフも雇用しておらず、固定費は最小限に抑えています。しかし独立した今、生活費を含めた自分の資金繰りを考えると、夜も寝付けない日があります。
そんな個人的な体験も踏まえつつ、資金繰りの大変な会社ですと、会社の損益よりも、まず目先のキャッシュフローが重要であることが理解出来ました。赤字でもキャッシュがあればビジネスは回りますが、黒字でもキャッシュがなければNGです。
事務所を借りて、スタッフを雇用して、ビジネスを運営し、資金繰りに奔走するのは、もの凄いことだと実感しています。
「小企業の経営指標調査」
公庫が公表している「小企業の経営指標調査」という調査結果があります。
本書を読むまでは知らなかったのですが、この調査結果はクライアントの経営数値を確認する際の、比較検討材料になるので、とても役に立ちそうです。
小企業の経営指標調査|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
まとめ
会計事務所で働いていて、社長との話しに困っている方は是非読んでみて下さい。
ただ資金繰りについては、独立して初めてその大変さや不安感が分かります。なので本当に社長に親身になって仕事をしていきたい、と思うのであれば、独立開業が良いですね!
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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