こんにちは。練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。
本日は、「恒久的施設(PE)を有しないアメリカ法人が、日本法人から利息を受け取る場合の課税関係」を記載します。
大まかな流れとしては、日本での所得税→源泉徴収→法人税→租税条約、の順番で検討を行います。
結論としては、「日本法人はアメリカ法人に利息を支払う際に、源泉徴収をする必要はない。またアメリカ法人は日本の法人税の申告義務はない」ということになります。
所得税(アメリカ法人)
外国法人は、一定の所得に対して、日本で所得税の課税を受けます(所法5④、7①五)。
国内において業務を行う者から受ける貸付金の利息は、国内源泉所得となり、所得税の課税を受けます(所法161①十)。
源泉徴収(日本法人)
源泉徴収義務者は日本法人です。
外国法人に対して国内で一定の支払いをする者は、源泉徴収義務を負います。
外国法人に対する貸付金の利子は、源泉徴収の対象となります(所法6、161①十、212①)
法人税(アメリカ法人)
外国法人は、国内源泉所得につき、日本で法人税が課されます(法法4③、8①)。
しかし、恒久的施設を有しない外国法人は、一定の国内源泉所得のみ、日本で法人税が課されます(法法141二)。
そしてその中には、日本法人から受ける、貸付金の利子は含まれていません(法法138①二)。
したがって、アメリカ法人は法人税の課税を受けません。
租税条約での所得税の減免(アメリカ法人&日本法人)
最後に、日本と米国の租税条約を検討します。
租税条約の規定は、上記の国内税法に優先されます。
日米租税条約第11条第2項によると、日本国内において業務を行う内国法人から受ける貸付金の利子は、日本では免税となっています。
したがって、日本法人がアメリカ法人に利息を支払う場合、源泉徴収をする必要はありません。
参考:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0019008-055.pdf
※支払日の前日までに租税条約の届出をするする必要があります(こちらのブログにまとめています)。
まとめ
海外取引がからむと、検討の難易度は上がります。
しかしながら、大まかな流れとしては、日本での所得税→源泉徴収→法人税→租税条約、の順番で検討をします。
ステップが多いので難しくなるのですが、ある程度場数を踏んで、一つ一つ丁寧に見ていけば、なんとかなります。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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