【本の感想】『事例でわかる国際源泉課税 第3版』


こんにちは。練馬区大泉学園の、ひとり税理士、上原啓輔です。

今日は牧野好孝先生の『事例でわかる国際源泉課税 第3版』の感想を書きます。

どんな本か

国際源泉税を事例形式で解説している本になります。おそらく国際源泉税のバイブル的な書籍です。

Q&A形式で、事例が75個掲載されています。なので今現在検討している事例に近いものが探しやすいです。国際源泉税の検討をするときは、まずこの書籍を参照しています(最近はそもそも国際源泉税の検討をすることがないのですが…)。

また「国際源泉税までは興味ないけど、国際税務の概要を確認したい」という方には、最初の10ページくらいだけでもオススメです。国際税務の概要が記載されていますので、この部分を読むだけでも勉強になります。

また37ページ目には「グロスアップ課税」のことが解説されています。わたしは「グロスアップ課税っていまいち分かりづらいなー」と思っていたのですが、この部分を読んで、疑問がすっきり解消しました。

なぜこの本を選んだのか

前職の外資系税理士法人で勤務していた時に、上司に税務署のOBの方がいました。その方は税務署時代に源泉課税を担当されていたのですが、「国際源泉税なら牧野先生の本が一番」というようなことを仰っていて、興味を持ったのがきっかけです。

この本の良いところ

事例形式なので、とにかく分かりやすいです。国際源泉税そのものが非常に難しいので、読みづらい部分も多いのですが、事例形式になっているので紹介されている取引のイメージが持ちやすいです。

また自分が調べたい検討事項に一致するか、あるいは近い事例が掲載されていることが多いので、まずこの本を確認してあたりをつける、ということがしやすいです。

個人的にお気に入りの事例は、

  • 事例6「誤って過大に行った源泉徴収とその処理方法」
  • 事例7「外国法人日本支店と源泉徴収の免除証明書」
  • 事例20「インド企業に支払う技術的役務の提供に関する対価と源泉徴収」
  • 事例65「一夫多妻制の制度を持つ国の居住者から日本の居住者となった者に対するは配偶者控除の適用法」(一夫多妻制!?)

です。

事例65は、わたしが私淑している佐和周先生が、ブログで突っ込んでいたので印象に残っていました。

読後の変化

実際の実務で、「インド企業に支払う技術役務提供」の論点が出てきたことがあります。上司が丁寧に説明してくれたのですが、全く意味が分からず理解できなかった経験があります。債務者主義ってなんぞや!?という感じです。

しばらく悶々としていたのですが、先に挙げた「事例20」を何回も繰り返し読んだおかげで、「なるほどそういうことか!」と、最終的には理解できました。

インド企業に支払う技術役務提供の対価は、国際源泉税の罠だと思うのですが、牧野先生も本書の中で「著者の実務において経験をしたその印象の強烈度」で第2位に挙げていました。「その印象の強烈度」という表現が、税務の中に文学的な要素を感じて、何とも言えず良いです。

まとめ

この本がオススメな人は「国際税務の実務を始めて、国際源泉税の難しさに気づいた人」です。このままでは実務に大きな支障が出るという危機感を持ちましたら、是非この本を読んでみて下さい。多くの国際源泉課税の問題は解決できると思います。

国際源泉課税の勘所が分かってくるので、オススメの一冊です。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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