こんにちは。練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。
会社を設立後に、役員報酬を支給します。
役員報酬の支給については、スタッフの給料とは違って、法人税いくつかの制約があります。
本日は、新設会社はいつから役員報酬を支給すべきかの解説をします。
設立から3か月以内に役員報酬を支給する
法人税では、役員報酬を損金(法人税における経費)とするには、「定期同額給与」に該当する必要があります。
(他にも事前確定届出給与や業績連動給与などがありますが、当記事では割愛します。)
「定期同額給与」に該当するには、その支給が事業年度開始の日から3月を経過する日までに行われる必要があります(本来の条文の記述とは異なりますが、設立時に合わせるよう意訳していますので、ご留意ください)。
【具体例1】
新設法人が役員報酬を月40万円支給する場合、①設立日~役員報酬の支給開始(設立から3か月以内)までの期間は0円
②支給開始から期末までは毎月40万円
上記であれば、役員報酬は全額損金に算入出来ます。
【具体例2】
新設法人が役員報酬を月40万円支給する場合、①設立日~役員報酬の支給開始(設立から4か月以内)までの期間は0円
②支給開始から期末までは毎月40万円
上記ですと、「定期同額給与」に該当しませんので、役員報酬の全額が損金に算入できないこととなります(経費が減るので、法人税が増加します)
【具体例2】のように、会社設立後に、事業が軌道に乗るまでに想定より時間がかかり、4か月以上にわたり役員報酬の支給をしない場合もあると思います。
その場合でも、法人税のルールはそのまま適用され、役員報酬を損金に出来ないという事態が生じえますので、留意が必要です。
臨時改定事由とは
上記のように、設立日から3か月以内に役員報酬を支給していなくても、「臨時改定事由」というものに該当すると、損金になります。
「臨時改定事由」とは、例えば、
①その法人の役員の職制上の地位の変更
②その役員の職務の内容の重大な変更
③その他これらに類するやむを得ない事情
によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定、を言います。
しかしながら、「臨時改定事由」は、創業時には想定できない偶発的な事象が該当します。
従って、創業時に「臨時改定事由」を適用するにはハードルが高い印象がありますので、役員報酬の支給まで見込んだ創業計画を立てることが重要です。
参考1:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm
参考2:https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf
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