【不動産所得】「事業的規模の場合」と「事業的規模でない場合」の相違点


こんにちは。東京都練馬区大泉学園で会計事務所を運営している、税理士の上原啓輔です。

不動産所得には「事業的規模」という考え方があります。

「事業的規模の場合」と「事業的規模でない場合」にはいくつか相違点がありますので、本日はその記事を書きます。

不動産所得が事業的規模であるかどうかは、以下の基準で判定します(所基通26-9)。

いわゆる、「5棟10室基準」です。

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm

不動産所得が「事業的規模」である場合には、税金の取り扱いは、以下のようになります。

  1. 建物の取壊し、除却などの資産損失については、不動産の貸付けが事業として行われている場合は、その全額を必要経費に算入します。
    また損失を控除しきれない場合は、3年間の繰越し控除が可能です。
  2. 賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、不動産貸付けが事業として行われている場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入します。
  3. 青色申告の事業専従者給与、または白色申告の事業専従者控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合は適用があります。
  4. 青色申告特別控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合、正規の簿記の原則による記帳を行うなどの一定の要件を満たすことにより最高55万円の控除を受けることができます。
    また、55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が「電子帳簿保存」または「e-Taxによる電子申告」を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除が受けられます。
  5. 小規模企業共済に加入できます。

不動産所得が「事業的規模でない」場合には、税金の取り扱いは、以下のようになります。

  1. 建物の取壊し、除却などの資産損失については、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として、必要経費に算入されます。
  2. 賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、収入に計上した年分までさかのぼって、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します(更生の請求を行います)。
  3. 青色申告の事業専従者給与または白色申告の事業専従者控除については、適用がありません。
  4. 青色申告特別控除については、最高10万円となります。
  5. 小規模企業共済に加入できません。

不動産所得は、「事業的規模」か「事業的規模でないか」で取り扱が大きく違います。

本来受けられる税務メリットをもれなく享受できるように、しっかりと確認することが重要です。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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