税理士試験 受験体験記【相続税法 悲壮感あり】


こんにちは。練馬区大泉学園の、ひとり税理士、上原啓輔です。

本日は、相続税法の受験体験記を書きます。

相続税法の学習ボリュームは、法人税法の70%程度ですが、合格するのは、超絶難しいです。

税理士試験の中でも最難関だと思います。それは学習内容というより、周りの受験生のレベルが高すぎるためです。

相続税法の受験生は、おおむね税理士試験の科目合格を3つ,4つしている方が多いです。

税理士試験の大変さを何度も乗り越えた猛者たちが集います。

その中で、本試験で上位10%に入って合格するのは、なかなかに至難の業です。

でもなぜか、わたしはそんな相続税法に一発合格しました。

答練などは上位30%に食い込んだことは、数えるほどしかなかったと思います。

こればっかりは運が良かったと思うしかないです。

相続税法に一発合格したのが、税理士試験の我がハイライトです。

基礎期の総合問題を初めて解いたときに、大きな衝撃を受けました。

それは解答時間が全く足りない、ということです。

財表、消費税、法人税を合格していたので、ある程度はイケるだろうと思っていたのですが、まったく時間が足りませんでした。

「これは速記試験か?」と本気で思っていました。

この「時間が足りないよ」問題は、最後まで解決しなかったです。

普通に総合問題や答練を解いたら、税額控除あたりで時間切れになります。

なので税額控除の金額だけ転記して、計算パターンは解答用紙に書けない、というのが普通でした。

本試験でもそのスタイルで突入することにしました。

ただわたしが受けた年の本試験では、計算問題が非常に簡単だったので、最終税額まで記載することが出来ました。

運が良かったというしかないです。

相続税法に合格するためには、まず相続人判定を100%正解できるように繰り返し練習する必要があります。

相続人判定はすべての計算に影響しますので、ここを外すと合格は不可能です。

わたしが受験したときは、本試験のラスト20分で、相続人判定を間違えていたことに気付きました。

慌てて直して、結果それが正解していて、合格した、という経験があります(詳しくは後述します)。

個別問題、総合問題、答練、過去問など、とにかく全ての問題で相続人判定が100%出来るように練習することが何より大事です。

相続人判定を外すと不合格間違いなしです。

あとは、基本的な財産評価は必ず出来るように、繰り返し練習することが重要です。

土地の評価は独特な論点が多く大変ですが、練習を繰り返せばいずれ出来るようになります。

基本的な財産評価は、法人税などに比べると比較的習得しやすいものが多かったです。

相続税法の学習内容は、興味深く面白かったです。

相続税法の理論はとにかく覚えづらいです。

用語がいちいち難しく、日本語とは思えないものばかりです。

わたしは結局、重要度に応じて、暗記のウェイトを調整しました

Aランクは全部覚える。

Bランクは赤字の用語は覚えつつ7割くらいは復元できるように覚える。

Cランクはなんとか自分の言葉でもいいから6割くらい復元できるように覚える。

もちろん全部暗記するのが理想ですが、わたしには無理でした。

わたしが受験したときはBランク、Cランクの理論は出題されなかったので、結果オーライという感じでした。

ただその年は改正の論点が出て、その解答がギリギリでした。

計算問題はほぼすべて正解したので、何とか合格できたのだと思います。

きつかった勉強

山本憲明さんの本に、『働きながら3年で!税理士最短合格の時間術・勉強術』という本があります。

わたしもこの本に大いに感化されました。

この本の中で、山本先生が本試験でミスして泣いたエピソードが披露されています。

「そんな大げさな」と思っていましたが、わたしも相続税法の本試験で泣きました(涙をポロポロこぼす程ではないですが、涙が滲んで前が見えねーや、チキショー、という感じでした)。

相続税法の受験生時代は、長男が2歳になる頃で、活発に動くようになってきていて、いつもわたしと遊びたそうにしていました。

ただ仕事に勉強にあまりに忙しすぎて、なかなか遊んであげられませんでした(泣)。

またちょうど次男も生まれた頃で、休日は次男を抱っこ紐で寝かしつけながら、子守歌の代わりにブツブツ理論を唱えていました(これがまたよく寝付いていました)。

「子供と遊びたいし、仕事もマジで辛いし、勉強も苦しいし、こんな生活長くは続けられない」と若干発狂しそうになっていました。

なんとか相続税法を1年で終わらせるべく、必死に勉強していました(かなり悲壮感があったと思います)。

この年は本当にしんどくて、そのためか記憶がかなり飛んでいて、どんなイベントがあったのか、ほとんど覚えていないです(;’∀’)

そんなこんなで、息も絶え絶えに勉強を続けて、本試験を迎えました。

泣いた本試験

理論は改正の問題が出て、「やべー、でもみんな出来ないだろう」と高をくくって、自信をもって解答しました(自己採点で、見事に不正解でした)。

問題は、計算です。この年の計算問題はメチャクチャ簡単で、ほとんど問題集レベルの内容でした。

120分の試験時間なのですが、90分くらいで解答が作成できたと思います(自分的に過去最速でした)。

一通り見直した結果、「これけるかも」と思い、なんとなく計算問題の相続人判定をもう一度見直しました。

すると、「ん?これ相続人判定、間違えてない?」という予感がして、まさに本当にサーーーっという音が聞こえるくらい血の気が引いていきました。

でもこういう時は、だいたい最初の解答が合っているもんだから、と自分を落ち着けて、もう一度よく見直しました。

するとやっぱり間違っているような気がします。

ここで本当に迷いました。残り時間は20分くらいです。

相続人判定を修正すると、計算問題のかなりの部分を修正することになります。

最初の自分の解答を信じるか、間違っているかもしれないから修正するか。

「ちょっと待って、この判断で、あれだけ苦しかった1年間の勉強が吹っ飛ぶかもしれない」とかなりパニックになりました。

たぶん5分くらい悩みました。

そしてもう一度慎重に今まで勉強した知識を総動員して、相続人判定をして、「うん、これは間違っている、修正すべきだ」という結論に達しました。

そしてラスト15分で計算問題を全て修正することにしました

この時ほど、ペン先が震えて、電卓もうまく叩けなかった本試験は無かったです。

でも、あそこまで集中してペンを走らせ、電卓を慎重にたたいた本試験も無かったです。

15分で全て直せるか、本当に修正していいのか、家族や自分を犠牲にして1年間勉強してきたのにこんな形で終わるのか、とかとかとか、色々な思いがこみ上げてきて、本試験の最中に泣きました(繰り返しですが、涙が滲んで前が見えねーや、くらいの涙です)。

諦めたらそこで試合終了だよ~」という安西先生の声が聞こえてきて、なんとか自分を奮い立たせ、相続人が絡む項目は全部必死で直しました。

あそこまで必死になった15分間は、これまでの人生でないです。もう7年くらい前の話ですが、今でも鮮明に思い出せます(;’∀’)

そんなこんなで、奇跡的にすべて修正が終わり、気力のすべてを振り絞って、廃人のようになって、受験会場である早稲田大学を後にしました。

夕日がキレイ

本試験が終わった次の日、いつものように仕事に行きました。

廃人感が抜けないまま1日仕事をして、終業時間になりました。

当時勤めていた会社は大きなビルの3階に入居していて、薄暗いビルの裏口から出入りすることが多かったです。

終業時間になって、「帰ろう」と思い、いつものように会社のビルの薄暗い裏口の重たい鉄の扉をギギーと開けたとき、ふと、「あれ今日は家に帰っても、勉強しなくていいし、何の予定もないじゃん。なにこの感覚、すごい解放感」と思った瞬間の、なんとも言えない爽快感は今でもハッキリ覚えています。

見上げた空の夕焼がとてもきれいで、「夕日ってこんなにキレイだったっけ、目に沁みる」みたいな。

それだけ全く余裕がなく過ごした1年間だったんだなと思います。

そして12月、結果はまさかの合格!うれしー、というよりも安堵感がすごかったです。

まだ簿記論が残っていましたが、簿記論は受け続ければいつか受かるだろうと思っていたので、「あーこれで税理士になれる」と、心底ほっとしました。

相続税を受験したときの思い出は、一生忘れられないものがあり、いつか人に話したいなと思っていました。

あまり勉強のテクニック的なことは書けませんでしたが、税理士試験は諦めなければ合格出来ると確信したのが相続税法でした(安西先生、ありがとう、いや違うか)。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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